英検は早く取れば取るほどいい?小中学生が先取りする前に知ってほしい級の決め方

目次
  1. 英検には学年制限がない。だからこそ「早く取る競争」になりやすい
  2. 小学生で2級、中学生で準1級を取ること自体が悪いわけではない
  3. 英検は「英語学習の健康診断」として使う
  4. 早期取得で注意したい1つ目の問題は「文法を分かったつもりになること」
  5. 2つ目は、英作文の「型を使える」と「自分で考えられる」を同じにしないこと
  6. 3つ目は「受かったから次へ」で英語学習そのものが崩れること
  7. 英検に受かった後、次の級へ進んでいいかは5つ確認する
  8. 1. その級までに必要な英文法に大きな穴がないか
  9. 2. 長い一文でも構造を取りながら読めるか
  10. 3. 単語を問題専用の暗記にしていないか
  11. 4. 英検以外の英文でも読めるか
  12. 5. 次の英検対策が普段の英語学習を邪魔しないか
  13. 中学生なら3級〜準2級まで取れていれば十分大きなアドバンテージ
  14. 2025年度から「準2級プラス」も加わった
  15. 高校生は「早く取らなくていい」だけでは済まない
  16. 大学入試で使うなら、高1〜高2で取れるとかなり楽になる
  17. 一つの目安は高3の第1回検定まで
  18. 英検専用の対策は、英語の地力を作った後に集中させる
  19. 2級に受かったら、すぐ準1級へ進むべき?
  20. 英検は取った級ではなく「どう受かったか」まで見る
  21. まとめ|英検に受かるために英語を勉強しない
  22. FAQ
  23. 著者情報

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「中学生のうちに2級を取った方がいい」

「小学生で準1級に合格した子もいる」

こうした話を聞くと、自分や子どもも早く上の級へ進まなければならないように感じるかもしれません。

しかし、英検は早く上の級を取れば取るほどよいわけではありません。

英検は、すでに学んだ文法・語彙・読解などがどこまで身についているかを確認し、数か月先の学習目標を作るために使うのが基本だと私は考えています。

小中学生が未習内容を急いで先取りして、級だけを上げる必要はありません。

一方で、大学入試で英検を利用する高校生なら話は別です。必要な級・CSEスコアから逆算して、高1〜高2のうちに取得しておく価値は十分あります。

大切なのは、

「何歳で何級を取ったか」ではなく、「その級を取ったときに何ができるようになっているか」です。

英検には学年制限がない。だからこそ「早く取る競争」になりやすい

英検公式が示している各級の目安は、2026年現在次のようになっています。

英検公式の推奨目安
5級中学初級程度
4級中学中級程度
3級中学卒業程度
準2級高校中級程度
準2級プラス高校上級程度
2級高校卒業程度
準1級大学中級程度
1級大学上級程度

ここで重要なのは、これは受験してよい学年を決めた表ではないということです。英検公式は「小学生から社会人まで幅広い方を対象とした、英語検定試験です」と説明しており、学年で受験級が決まる試験ではありません。(英検公式)

そして実際、上位級を受験する中学生は増えています。

公式情報

英検協会の統合報告書2025によると、2024年度の中学生の準2級受験者数は27万3,130人で2014年度の約1.6倍、2級受験者数は10万8,722人で2014年度の約3.1倍になっています。(英検協会 統合報告書2025)

つまり現在考えるべきなのは、

「中1だから5級、中2だから4級でなければいけないのか」

という問題より、

「どこまで早く上の級を取るべきなのか」

です。

小学生で2級、中学生で準1級を取ること自体が悪いわけではない

ここは誤解してほしくありません。

小学生が2級に合格した。

中学生が準1級に合格した。

それ自体を否定するつもりはありません。

その子が本当にその水準の英語を身につけているなら、素晴らしいことです。

問題なのは、

2級に合格した→高校レベルの英語学習は全部終わった→文法などはもう勉強しなくていい

と考えてしまうことです。

「取得した級」と「英語学習の完成度」は、完全に同じものではありません。

英検は非常に有用な試験ですが、一つの検定で英語力のすべてを測っているわけでもありません。

だから私は、

級を取ったことより、その級を取るまでに何を身につけたかを見るべき

だと考えています。

英検は「英語学習の健康診断」として使う

私が考える英検の良い使い方は、

先に英語を学び、その学習が身についているか確かめること

です。

たとえば中学校で現在完了まで学習した。

単語も増えてきた。

以前より英文も読めるようになった。

そこで3級や準2級を受けてみる。

結果として合格できれば、

「ここまで勉強してきた英語はある程度身についている」

と確認できます。

これなら英検が学習の良い節目になります。

逆に、

次の級に合格するためだけに、まだ理解していない文法を答え方ごと覚える

という順番になると、英検の級だけが先に進んでしまいます。

英検を、

学習→確認

ではなく、

英検に必要だから暗記→合格→次の級に必要だからまた暗記

というサイクルにしてしまわないことが大切です。

早期取得で注意したい1つ目の問題は「文法を分かったつもりになること」

特に注意したいのが英文法です。

私は指導する中で、

体系的な文法理解に穴が残っていても、単語力や問題演習などによって英検の合格ラインに届く生徒

を見ることがあります。

もちろん、英検が文法を評価していないという意味ではありません。

公式情報

英検のライティングテスト(意見論述)の採点基準には、内容・構成・語彙・文法が含まれています。(英検公式 準2級ライティング採点基準)

それでも、

英検に合格したこと英文法を体系的に理解していること

は分けて確認した方がよいと思っています。

たとえば2級に受かっていても、

  • なぜその時制になるのか説明できない
  • 関係詞をなんとなく前後から判断している
  • 一文が長くなると構造を取れない
  • 文法問題になると急に不安定になる

のであれば、まだ補うべき部分があります。

ここで、

「もう2級だから高校英文法は終わった」

としてしまう方が危険です。

2つ目は、英作文の「型を使える」と「自分で考えられる」を同じにしないこと

英検対策ではライティングの型を学びます。

これは悪いことではありません。

むしろ試験である以上、形式を理解して練習するのは当然です。

準2級の意見論述でも、公式は意見とそれを支える理由を明確に書くことを求めています。内容だけでなく、構成・語彙・文法も評価されます。

ただし、

英作文の型を使えることそのテーマについて深く考えられること

ではありません。

小中学生が試験形式に慣れ、

「I think ~. I have two reasons.」

から始めて、覚えた表現を使って安定した英文を書けるようになる。

それ自体は英語試験として意味があります。

しかし、それだけで、

「社会的なテーマについて自分で論点を考え、意見を組み立てる力まで十分に育った」

と評価する必要はありません。

英検で測っている能力と、英語学習全体で育てたい能力を同じものにしない。

ここも早期取得を考えるときには重要です。

3つ目は「受かったから次へ」で英語学習そのものが崩れること

個人的には、これがかなり重要です。

3級に受かった。すぐ準2級。

準2級に受かった。すぐ準2級プラス。次は2級。

2級に受かったから準1級。

こうして英検だけを追い続けると、

いつの間にか英語を勉強することではなく、次の合格証を取ることが学習目的になってしまいます。

英検を数か月先の目標として使うことには私は賛成です。

目標があることで単語を覚えたり、長文を読んだりする理由ができます。

問題なのは、

「最短で次の級へ進むこと」そのものを目標にすることです。

合格したら、一度止まってもかまいません。

英検に受かった後、次の級へ進んでいいかは5つ確認する

私は、過去問で合格点が取れたことだけで次の級へ進むかを決めるべきではないと思っています。

少なくとも次の5点を確認します。

1. その級までに必要な英文法に大きな穴がないか

問題の答えだけではなく、「なぜこの形になるのか」をある程度説明できる状態が理想です。

2. 長い一文でも構造を取りながら読めるか

単語の意味を拾ってなんとなく内容を推測するだけになっていないか確認します。

3. 単語を問題専用の暗記にしていないか

日本語訳を一つだけ覚えるのではなく、中心的な意味や実際にどう使われる単語なのかまで少しずつ広げます。

4. 英検以外の英文でも読めるか

英検の過去問だけ極端に得意になっていないかを確認します。学校教材、長文問題集など別形式でも読めるなら、その級の学習がより実力として残っていると判断しやすくなります。

5. 次の英検対策が普段の英語学習を邪魔しないか

ここは特に高校生で重要です。次の級を取るために、学校英文法・英文解釈・長文読解・大学受験対策が止まってしまうなら、一度英検から離れる選択肢があります。

中学生なら3級〜準2級まで取れていれば十分大きなアドバンテージ

「では、中学生は何級まで取ればいいのか」という質問に私なら、

中学英語の文法・語彙をきちんと身につけたうえで、3級〜準2級まで取得できていれば十分です

と答えます。

3級は公式に中学卒業程度、準2級は高校中級程度です。

準2級まで取れていれば、中学生としてかなり先まで進んでいます。

わざわざ、

「周りに中学生で2級の子がいるから」

という理由だけで2級を急ぐ必要はありません。

2025年度から「準2級プラス」も加わった

現在は準2級と2級の間に準2級プラスがあります。

公式情報

準2級プラスは2025年度に新設された級で、公式サイトでは高校上級程度、準2級から2級への橋渡しとして位置づけられています。(英検公式 準2級プラス特設サイト)

そのため、

準2級はかなり余裕を持ってできる→しかし2級だと急に難しい→もう一段階学習目標が欲しい

という人には使いやすくなりました。

ただし、

準2級プラスができたから、中学生も全員そこまで取るべき

という話ではありません。

やはり判断するのは年齢ではなく、

そこまでの英語学習が実際に進んでいるか

です。

高校生は「早く取らなくていい」だけでは済まない

ここからは大学受験生で話が変わります。

大学入試では英検を、出願資格・加点・得点換算・英語4技能試験利用などに使う大学があります。

公式情報

明治大学商学部の英語4技能試験利用型入試では、2027年度以降の出願資格としてCSE総合スコア1980点以上(2級合格相当)が示されています。法政大学の2027年度入試でも、一般選抜・英語外部試験利用入試で学部群ごとに「準1級以上合格」または「2級以上合格」、方式によっては「準1級合格かつCSEスコア2500点以上」のような段階的な基準が設定されています。(明治大学商学部法政大学入試情報サイト)

しかも条件は大学・学部・方式ごとに大きく異なります。大学入試で英検を利用する場合の具体的な基準(必要な級・CSEスコアなど)は、必ず受験年度の大学公式要項で確認してください。

だから高校生については、

「焦らなくていいからいつでもいい」

とは言いません。

大学入試で使うなら、高1〜高2で取れるとかなり楽になる

大学入試で英検を使う可能性があるなら、私は高1〜高2の段階で2級、必要なら準1級まで取得しておく方がよいと考えています。

理由は単純です。

高3になれば、共通テスト・志望大学の過去問・英文解釈・長文・他教科にも時間が必要になります。

その時期に、

「あと少しで英検2級だから、もう一回」 「次のS-CBTを受ける」 「英作文だけもう少し」

と英検対策を繰り返す状態になると、受験勉強の軸が崩れます。

私はこれを避けたいです。

一つの目安は高3の第1回検定まで

大学入試利用を目的とした英検取得は、できれば高3の第1回検定までに一度決着させたい、というのが私の考え方です。

従来型英検は年3回実施されており、2026年度の第1回検定・一次試験(本会場)は5月31日でした。S-CBT方式を使えばさらに柔軟に受験できます。実施日程は年度ごとに変わるため、最新の日程は英検公式サイトで確認してください。(英検公式 試験日程)

ですから、

「高3の途中を過ぎたら英検を受けてはいけない」

というルールではありません。

重要なのは、

英検取得が終わらないまま、夏以降の受験勉強まで引きずらないこと

です。

英検専用の対策は、英語の地力を作った後に集中させる

英検を受けるなら、英検特有の対策も必要です。

私は、語彙の最終チェック・ライティング形式・面接形式・時間配分・過去問などは直前期に集中して仕上げればよいと考えています。

文法・読解などの地力があることを前提に、直前2〜3か月程度で英検特有の対策を行い、過去問数回分を仕上げるイメージです。

逆に言えば、半年、一年とずっと英検形式だけを解き続けなければ受からない状態なら、一度、

「英検対策が不足しているのか、それとも英語そのものの土台が不足しているのか」

を考えた方がよいでしょう。

直前期の対策を独学で組み立てるのが難しい場合は、英検専門のオンライン個別指導のように、今の実力から逆算して対策範囲を絞ってくれるサービスを頼るという選択肢もあります。無料相談を申し込む(スタスタLIVE英検)

2級に受かったら、すぐ準1級へ進むべき?

これも一律には進めません。

大学入試で準1級が必要。英語が得意で、2級レベルの文法・読解にほとんど問題がない。英語学習の次の目標として準1級がちょうどよい。

こういう人なら進めばよいと思います。

一方、2級には受かったものの、

  • 高校英文法に穴が多い
  • 長文を正確に読めない
  • 単語力で押し切っている
  • 大学受験用の英文解釈をまだ始めていない

なら、

準1級対策より、通常の英語学習を優先する

という選択も十分にあります。

合格したから次へ進むのではありません。

今の自分にとって、次に何を学ぶことが一番英語力を伸ばすのか

で決めます。

英検は取った級ではなく「どう受かったか」まで見る

私が目指してほしいのは、質の高い合格です。

これは満点で受かるという意味ではありません。

英検のためにだけ覚えた知識ではなく、文法を理解する・単語を増やす・一文を正確に読む・長文の内容を取る・自分の考えを英文にするという普通の英語学習をした結果として、

「じゃあ今の力なら、この級も取れるね」

という状態になることです。

この順番なら、英検が終わった後にも英語力が残ります。

まとめ|英検に受かるために英語を勉強しない

英検はとても使いやすい学習目標です。

数か月先に試験があることで勉強する理由ができ、大学入試で大きなメリットになることもあります。

だから英検を否定する必要はありません。

ただし、

「早く上の級を取ること」そのものを英語学習の目的にはしない。

小中学生なら、まず今習っている文法・語彙・読解を身につける。英検で確認する。穴があれば戻る。十分なら次へ進む。

高校生になって入試利用という明確な目的が生まれたら、必要な級やCSEスコアから取得時期を逆算する。

この使い分けが大切です。

英検に受かるために英語を勉強するのではなく、英語を勉強する途中に英検を置く。

私はこのくらいの距離感で英検を使うのが、一番長く英語力を残せると考えています。

FAQ

小学生は英検5級から受けるべきですか?

必ず5級から始める必要はありません。現在の英語力に合う級から受験できます。ただし、上位級へ急ぐことより、学んだ文法・語彙・読解が実際に身についているかを優先してください。

中学生なら英検2級まで取った方がいいですか?

必須ではありません。中学英語をしっかり身につけたうえで3級〜準2級まで取得できていれば、十分大きなアドバンテージです。2級相当の力まで実際に到達している人が受けることには問題ありません。

準2級に受かったら準2級プラスを受けるべきですか?

必須ではありません。準2級プラスは2025年度に準2級と2級の橋渡しとして新設された級です。準2級は余裕だが2級との間に大きな差を感じる人には、次の学習目標として使いやすい級です。

英検2級に受かったらすぐ準1級を勉強した方がいいですか?

大学入試などで必要なら進んでもよいですが、必ずしもすぐ進む必要はありません。高校英文法・英文解釈・長文読解に穴があるなら、そちらを優先する選択も合理的です。

英検は大学入試で本当に使えますか?

使える大学はあります。ただし、出願資格・得点換算・加点など利用方法も、必要な級・CSEスコアも大学・学部・方式によって異なります。必ず受験年度の大学公式要項を確認してください。

著者情報

めめ

統計士(一般財団法人実務教育研究所認定)。スタディツリーで、過去問・参考書・学習法を分析しています。英検についても、「何級を取ったか」だけでなく、その級までにどんな英語力が実際に身についているかを分けて考える視点を大切にしています。