赤本はいつ買う?学年・志望校の決まり方から逆算する目安
目次
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「赤本はいつ買うべきですか」と聞かれたとき、多くの答えは学年で区切られます。
「高3の夏から」「部活が終わったら」。
しかし、同じ高3でも、志望校が固まっている人と固まっていない人、基礎が仕上がっている人とそうでない人では、必要な赤本も、買うべき時期もまったく違います。
結論から言うと、赤本を買う時期は、学年だけでなく次の3つから逆算して決めます。
この記事では、「早く買えば安心」という考え方ではなく、逆算にもとづいて赤本を買う時期を決める方法を解説します。
「早く買えば安心」だけでは決まらない
赤本を早く買っておけば、いつでも過去問演習を始められて安心だと考える人がいます。
しかし、早く買うことには、次のような負担も伴います。
- 志望校が変わると、買い直しが必要になる
- 最新年度版が出た後は、古い版が入手しにくくなる
- 基礎が終わっていない段階で買うと、しばらく使わずに置いておくことになる
- 何年分・何校分も先に揃えると、かえってどれから手をつけるか迷う
したがって、「早ければ早いほどよい」とは言えません。
先に必要なのは、「いつ買うか」ではなく、「何年分を、いつまでに解き終えたいか」を決めることです。
逆算の起点は「何年分を、いつまでに解き終えたいか」
赤本を買う時期は、次の順番で逆算して決めます。
- 過去問を何年分解き終えたいか決める
- その年数を解くのに必要な期間を見積もる
- 演習を終えたい時期から、必要な期間をさかのぼる
- さかのぼった時期が、赤本を買う時期になる
例えば、過去問を複数年度分、ある時期までに解き終えたいとします。1年分の演習・復習にかかる期間は、大問の分量や自分の処理速度によって変わるため、まず1年分を実際に解いてみて所要期間を確認します。そのうえで、残りの年数分にかかる期間を見積もり、演習を終えたい時期からさかのぼれば、着手すべき時期(=赤本が手元にある必要がある時期)が決まります。
この計算に使う「何年分」「1年分あたりの所要日数」は、志望校のレベルや今の学力によって変わります。次の見出しから、学年別の目安を条件で分けて説明します。
学年別の目安|高3・高卒生の場合
高3・高卒生の場合、基礎の完成度によって、赤本に着手すべき時期が変わります。
基礎がほぼ仕上がっている場合
網羅系の参考書・問題集を一通り終え、典型的な問題は解説を見ずに解ける状態です。
この場合、過去問演習そのものを先延ばしにする理由はありません。基礎が仕上がった時点でできるだけ早く1年分に触れておくと、残りの期間で「何年分を、どのペースで」解くかを具体的に計画できます。
基礎が途中で止まっている場合
網羅系の問題集がまだ終わっていない、または解説を読んでも自力では再現できない問題が多い状態です。
この場合、赤本を今すぐ何年分も進める段階ではありません。ただし、「今の実力でどこまで通用するか」を知るために、直近1年分だけ先に用意して力試しに使うことには意味があります。本格的な演習は基礎の仕上がりを見てから増やします。
基礎がまだ大きく不足している場合
網羅系の問題集にまだ着手できていない、または大部分が自力で解けない状態です。
この場合、赤本を買うより先に基礎の教材を進めることを優先します。買うこと自体を否定はしませんが、演習に使えるようになるまで期間が空くため、今すぐ買う必要性は低くなります。
「第一志望は最低○年分」という一律のルールでは決めません。基礎の仕上がりに応じて、着手時期そのものが変わるためです。
学年別の目安|高1・高2の場合
高1・高2で赤本を買うかどうかは、目的によって判断が分かれます。
- 志望校の傾向を知りたい場合:この段階では全年度・全科目をそろえる必要はありません。1年分だけ購入し、大問構成や出題形式を確認する目的であれば、今の時点でも意味があります。
- 得点を取る演習として使いたい場合:まだ未習範囲が多く残っている科目については、演習効果が限定的です。習い終えていない範囲を含む年度は、後で使うために取っておいたほうが無駄になりません。
- 併願校を含めて広く様子を見たい場合:この時期にすべての候補校の赤本を買いそろえる必要はありません。志望順位が固まっていない段階での大量購入は、志望校が変わったときに使わない本を増やすことになります。
高1・高2の時点では、「演習用に何年分も解く」ためではなく、「出題形式を知る」ための最小限の年数にとどめておくほうが、後の買い直しや使い残しを避けられます。
志望校が固まっていない時期に買うとどうなるか
志望校が固まっていない段階で複数校の赤本を買うと、次のことが起きます。
- 実際には受験しない大学・学部の赤本が手元に残る
- 志望校が変わった時点で、新しい赤本を追加で買うことになる
- 「もう買ったから」という理由で、志望校選びが赤本の在庫に引っ張られることがある
したがって、赤本は「志望校を決めるための道具」というより、「志望校が固まった後に、その大学の傾向を知るための道具」として使うほうが無駄が少なくなります。
併願校を含めて出題傾向だけを比較したい場合は、全冊を買いそろえるのではなく、候補が数校に絞れた段階で該当校のみを購入する方法もあります。
最新年度版の発売時期を踏まえて買う
赤本には、年に一度の版の切り替えがあります。
赤本は毎年4月下旬に年度の切り替えをおこなっており、それ以降は前年度版を取り扱えなくなります。(赤本オンライン【教学社 公式】よくある質問)
つまり、4月以前に発売されていた版を使っている場合、5月以降に店頭・オンラインで新しく手に入るのは新年度版になります。新年度版では、直近の入試年度(前年度の入試問題)が新たに追加され、逆に最も古い年度が収録から外れることがあります。
このため、次の点を確認してから買うと無駄がありません。
- 今から買う版に、自分が解きたい年度がすべて含まれているか
- 直近の入試問題を含む最新版を待つべきか、今すぐ手に入る版で始めるべきか
- 志望校の赤本が、自分の学年の受験年度に対応した版として販売されているか
「早く買う」こと自体を急ぐより、「今使える版に、必要な年度がそろっているか」を先に確認したほうが、後から買い直す事態を避けられます。
何年分・何校分を同時に買う必要はない
赤本には、収録年数が異なる複数のシリーズがあります。
教学社の大学別赤本シリーズは「1〜7年分」の最新年度を収録しています。一方、東京大学・京都大学(25年分)、北海道大学・東北大学(15年分)、一橋大学・大阪大学(20年分)など一部の大学を対象にした「難関校過去問シリーズ」は、科目別・分野別に10〜25年分を収録しています。(赤本オンライン【教学社 公式】難関校過去問シリーズ)
大学別赤本シリーズは「全教科をまとめて、試験をそのまま」掲載する一方、難関校過去問シリーズは「科目ごとに、出題形式・分野別に分冊」した構成です。全体の傾向をつかみたい段階では大学別赤本、特定の科目・分野を集中的に潰したい段階では難関校過去問シリーズ、というように役割が異なります。
したがって、次のような買い方は避けられます。
- 演習の予定を立てる前に、何年分もの過去問集をまとめ買いする
- 志望校が複数ある段階で、全校分を同時にそろえる
- 「全教科をそのまま解く」大学別赤本と「科目別に分野を潰す」難関校過去問シリーズを、目的を決めずに両方買う
先に「今回はどの科目・どの年数を解くか」を決め、それに対応する分だけ買うほうが、手元の演習量と実際に使う量のずれを防げます。
赤本を開く前に確認しておきたいこと
赤本を買った後、実際に開く前に確認しておくと無駄がない項目です。
- 自分が受験する学部・方式の問題が収録されているか
- 必要な年度がすべて含まれているか
- 解答用紙が付属しているか、必要な形式か
- リスニング音源が必要な科目に、音源が付属しているか
- 英語の長文が著作権の都合で省略されていないか
- 手元に同じ年度の問題集をすでに持っていないか
同じ大学でも学部・方式によって収録内容が異なる場合があるため、購入前に対象範囲を確認してください。
こんな人は今すぐ買った方がいい
次に当てはまる場合は、学年にかかわらず、今すぐ赤本を買う意味があります。
- 基礎の網羅系教材をほぼ終えており、演習に進める状態である
- 志望校(第一志望、または候補が数校に絞れている)が決まっている
- 「何年分を、いつまでに解くか」を具体的に計画できる状態である
- 今使える版に、自分が解きたい年度が含まれていることを確認済みである
反対に、基礎教材がまだ大きく残っている場合や、志望校がまったく決まっていない場合は、赤本を買うこと自体を急ぐより、先に基礎を仕上げる、または志望校を絞ることを優先します。
結論|赤本を買う時期は逆算で決める
赤本を買う時期は、学年だけでは決まりません。
次の順番で決めます。
- 何年分を、いつまでに解き終えたいか決める
- 1年分あたりの所要期間から、必要な着手時期を逆算する
- 基礎の仕上がりと志望校の確定度から、その時期が現実的かを確認する
- 使いたい版に、必要な年度が含まれているかを確認してから買う
「早く買う」ことと「今すぐ演習を始められる」ことは、同じではありません。
赤本を選ぶ際は、Amazonで確認するで志望校名・学部を絞り込んで探せます。
FAQ
赤本は高3の何月に買えばいいですか?
学年だけでは決まりません。基礎の網羅系教材がほぼ終わっている場合は、できるだけ早く1年分に着手できると、残りの期間で計画を立てやすくなります。基礎が途中で止まっている場合は、力試し用の1年分だけ先に用意し、本格的な演習は基礎の仕上がりを見てから増やします。
志望校が決まっていなくても買っていいですか?
出題形式を知る目的で、最小限の年数だけ買うのは問題ありません。ただし、志望校が固まっていない段階で複数校分をまとめ買いすると、志望校が変わったときに使わない本が残ることがあります。
何年分の赤本を買えばいいですか?
「第一志望は何年分」という一律のルールはありません。何年分を、いつまでに解き終えたいかを先に決め、そのために必要な年数を確認してから買います。大学別赤本シリーズは1〜7年分、難関校過去問シリーズはより多くの年度(大学により10〜25年分)を収録しています。
最新年度版はいつ発売されますか?
赤本は毎年4月下旬に年度の切り替えがあり、それ以降は前年度版を取り扱えなくなります。今から買う版に、自分が解きたい年度が含まれているかを事前に確認してください。
赤本と青本(駿台)はどちらを買えばいいですか?
本記事では扱いません。出版社によって収録年度・解説の詳しさ・対象大学が異なるため、志望校の対応状況を個別に確認してください。
著者情報
めめ
統計士(一般財団法人実務教育研究所認定)。スタディツリーで、過去問・参考書・学習法を分析しています。「たくさん解く」で終わらせず、記録した数値のどこを見れば次の一手が決まるのかまで整理します。